2017-06

上海のおはなし 1 ふたたび - 2015.07.30 Thu

2012年4月。ぼくは鑑真号に乗り、上海へ向かっていた。


2009年から10年にかけての中国、カトマンズ(ネパール)、デリー(インド)の旅で思ったことがある。

インドは強烈で人生観すら変わってしまうというようなことを良く耳にしていた。でも、ぼくはそうは思わなかった。
ぼくはデリーにしか居なかったからそういう思いにならなかったのかもしれないけどね。どちらかと言うとと言うよりも確実にぼくの中では中国の方が強烈だった。インドも強烈だけど何て言うかちょっと特別感があると言うかなんというか、だから強烈でも当たり前と言うか。例えるなら絶景が約束されている世界遺産を見に行って、そこに絶景があるのは当たり前という感じ。でも中国はごく普通な感じの普通の人が強烈と言うか何と言うか、とにかくその強烈さに最初はたじろいでしまうけど、慣れるとおもしろい。だからデリーから帰国する前にもう一度上海へ行こうかな?と真剣に考えた。

カトマンズから1つの街に滞在するスタイルになったが、中国では1カ所滞在型ではなく、東から西へ4ヶ月半かけて各地をまわっていた。その中国のスタートとなった街が上海だ。デリーで1つの街に1ヶ月ぐらいが良いのではないか?という思いになっていたぼくは、この流れで上海を再び歩いてみようかという思いになっていた。上海は5日間しか滞在していなかったし、撮影スタイルも今のようではなかった。街歩きの視点も今とは違っていたから、今のスタイルで1ヶ月上海を歩き、撮ってみたいと思ったからだ。

なぜそれほど上海に戻ってみたいかと言うと、中国という国の強烈さにぼくは魅せられてしまっていて、その中でも新旧入り乱れた活気ある上海という街の印象がぼくの中では強かったからだ。そして何より「シャンハイ」という響きがたまらなく魅力的だしね。でも結果的には上海には戻らずに帰国した。


それから2年後、ぼくは再び鑑真号に乗っている。やはり上海に行きたいという思いが強かったからだ。前回同様、大阪の友達の家にお世話になり、お弁当を作ってもらい甲板でそれを食べている。

船は東シナ海から長江に入り、黄浦江に入る。そして上海の高層ビル群が見えてくる。船は定刻よりも少し速く上海の港に到着した。

そして、ぼくは再び上海の街に立った。

                            2012年 旅日記 上海より

  
_K0C0287.jpg 



ホームページ 

http://www.snapla.jimdo.com/

 人気ブログランキングへ

スポンサーサイト

上海のおはなし 2 宿探しのススメ - 2015.08.26 Wed

どこかへ行く時は自分にとっての必要最低限の情報だけで、宿も決めずに行きたい。宿はその場に着いてから自分の足で探したい。いろいろな地域へどんどん移動して行く移動型なら当然宿は現地で探すことになるだろうけど、今のぼくは一つの場所に滞在する滞在型だ。今ならネットで安宿の予約もできる時代。わざわざ重い荷物を担いで面倒臭い客引き攻撃などを受けつつ、盗難などのリスクを負い宿を探す必要もないだろう。効率が悪いってやつだ。それでも、宿を事前にネットで予約して行こうとは思わない。その効率の悪さ中に、何かがあるような気がするからだ。


中国では外国人が泊まっていい宿と泊まってはいけない宿があるようで、安宿は泊まってはいけない部類に入る。安宿には田舎の方なら泊まれることもあるけど、都市部では大体断られる。なので、中国で
外国人にとっての安宿はユースホステルになる。ということを以前中国を旅した時に知った。観光地や都市部では必ずと言っていいほどユースホステルがあり、設備も良く快適に過ごせる。ただ、個人的にあまりユースの雰囲気に馴染めず泊まる気になれない。だから以前中国を旅した時には積極的にユースを利用しなかった。でも、今回は上海という大都会に約1ヶ月滞在することになる。洗濯スペースだったりwifiだったりいろいろな面でユースを利用した方良いという考えになっていた。

お昼前にはフェリーから外に出た。すぐにタクシーを捕まえ、目星を付けておいたユースへ向かった。上海は大都会&観光地ということもあってかユースの件数が多い。
予約はしていなかったけど、当然のように泊まれると思っていた。がぁ、泊まれなかった。すべての部屋が埋まっているということだ。それじゃーしょうがないということで別の宿を探す。上海はユースも多いけど安宿から高級ホテルまで宿の件数は多く、宿探しには困らないだろう。

そのユースから少し歩いたところにユースではないけど安そうな宿があったから、そこのおばちゃんに泊まれるか聞いてみることにした。おばちゃんはぼくが外国人だと分かると怪訝そうな顔で「メイヨー、メイヨー」

メイヨーと言う単語は中国各地でよく耳にする。意味合い的には「無い」って感じだろうと思う。眉間にしわを作り、ろくに調べもせずに、客の顔も見ないでそっぽを向いたままのメイヨー。このサービス精神ゼロって感じを体感すると、中国に来たなと実感する。ここは中国人しか泊まれない宿なのだろうと思い、また別の宿を探す。

今度は少しきれいめの外観の宿。レセプションの人は英語を話せる。ここは外国人も大丈夫そうだ。値段は少し高いかもしれないけど、まぁいいやということで早速部屋があるかと聞いてみると、予約はしているかと言われる。していないと言うと、部屋は無いと言われる。予約客でいっぱいなのかな?本当かな?と疑ってしまう。部屋の空室状況が完全に頭に入っている宿の従業員なんて見たことないけどな。パソコンで空室状況とか予約状況とかを確認してから無いと言われるならわかるけど、予約していないと言うといきなり「部屋は無い」だもんな。ここでは従業員からメイヨーは出なかったけど、ぼくから舌打ちは出た。

もう、何軒宿を見てまわっただろうか?どれくらい歩いただろうか?バックパックもカメラバックも以前の旅の時のように重たくはないけど、決して軽くはない。肩と足腰はもう限界ですと悲鳴を上げている。すでに時刻は午後の9時になろうとしていた。お昼過ぎに1軒目のユースを断られてから今まで見事に断り続けられている。もう高くてもいいやと高そうな宿に行っても断られた。どこも3軒目と同じで予約はしてあるかと言われ、していないと言うと調べもしないで部屋は無いと言われるパターンだ。

精も根も尽き果てたってやつだ。今日はベンチで一晩過ごす覚悟をしつつ前方に見える公園へと足を向けた。以前バイクで北米を旅していた時はほとんど野宿だったから、まぁ大丈夫だろうと思いつつ公園に来てみたが、静まりかえった大都会の夜の公園での野宿はなんだか妙に不安になる。そして、やめといた方がいいな、となる。

少し休んでからの宿探し。休んでしまうと体の重さが半端ではなく、動き出しが最高にきつい。汗だくで全身が痛く、宿ではお約束のように断られ、メイヨーも出放題。ぼくからは舌打ち出放題。あと何回このやり取りをしなくちゃいけないんだとうんざりも最高潮に達して臨んだちょっと高そうな宿についに部屋があった。シングルでシャワー、トイレ、エアコンが付いて部屋はきれい目で変な臭いもしない。しかも1泊100元(約1400円)と上海でこの条件の部屋としてはかなり安い。ただ窓がなく、部屋も狭い。でも全然いいのです。これで野宿は免れた。クーラーを入れシャワーを浴び、さっぱりしてベットに横になった時には夜中の1時を過ぎていた。

現地で宿を探す効率の悪さの中に何かがあるんだ、なんて思っちゃってたけど、そんなものは何もなかった。あったのは最高の疲労と山盛りのうんざり感。そして、メイヨー。

ぼくは誓った。これからどこかへ行く時は、ネットで事前に宿の予約を入れておこう、絶対。

                      
                             2012年 旅日記 上海より

  
_K0C3780.jpg 


ホームページ 

http://www.snapla.jimdo.com/

 人気ブログランキングへ

上海のおはなし 3 知っている  - 2015.09.06 Sun

上海には3年前に1度来ている。2度目の上海。ぼくは同じ場所を再び訪れるのが初めてだ。前回は5日しか滞在しなかったけど、結構覚えているもんだ。多少なりとも「知っている」という感覚がかなりの安心感を与えてくれる。

初めて行く地域は事前情報で治安が良いと言われていようが悪いと言われていようがやっぱり緊張するし警戒する。現地通貨にも馴染みがないから慣れるまでは気を使う。食べ物もそうだ。それが一度行ったことのある地域だとだいぶ気楽だ。

以前の旅で上海には5日しかいなかったけど、中国には4ヶ月半いたから毛沢東が印刷されている中国の通貨の元にも馴染みがあるし、屋台で売られている物にも馴染みがある。一瞬ケンカか?と思うような大きな声にも驚かないし、無愛想な店員にもいちいちムカついたりはしない。
暑いと男たちはシャツをめくってお腹を出している。そういうことをみんながみんなしているわけではないけど、そういう行為を見ても「何やってんだこの人?」とはならない。

ただ、その「知っている」という感覚が良いことだらけでもない。
自分の中の価値観がそこではまったく違っていて、そのギャップに困惑したり、面白かったり、何でもないことにドキドキしたりで、知っているとそういった感覚の味わいは薄れる。

知っているからこそ見えてくる物もあれば、知らないからこそ感じることができることもある。そんな当たり前のことを、旅先では強く思ったりする。

                            
                            2012年 旅日記 上海より


  _K0C7901.jpg 



ホームページ 

http://www.snapla.jimdo.com/

 人気ブログランキングへ

上海のおはなし 4 小籠包の教訓 - 2015.09.17 Thu

中国では食事に困らない。種類も豊富で安く食べられるところが多く、しかもおいしいからだ。お腹の弱いぼくはすぐにお腹を下すけど、衛生面的にここはちょっと下痢かな?と思うようなところであっても、中国ではだいたい大丈夫だ。種類が豊富で安くておいしい、しかも下痢の心配が少ない。ぼくにとっては最高の食事環境だ。

ウリ科全般、特にきゅうりと漬物全般が嫌いなぼくは、それらが入っていなければだいたいおいしくいただける。味付けがどうのこうのというような繊細な舌は持ちあわせていないから、時間とお金をかけて行列のできるような有名店に並んで食事をするということはほぼしない。

点心っていうのかな?包子(肉まん)とか餃子とかぼくはそういったものが好きだ。上海で点心といえばやっぱり小籠包。高級な店から庶民が行くような店まで幅広く小籠包を出す店がある。その中でも人気で常に行列ができている店がある。その店はテイクアウトすることができ、テイクアウトだと店内で食べるよりも料金が少し安くなる。その為、テイクアウト行列はすごい。

いつもあんなに行列ができているんだから、それはそれはうまい小籠包なんだろう。
行列に並ぶのは嫌だけど、点心好きとしては食べてみたい。料金はぼくが行くような店よりは若干高いけど、全然許容範囲だ。それでも、いつもなら並ばないけどなぜだかその時は並んでみようと思った。

待つこと40分。小籠包は16個入りで、鮮肉っていう方が12元で蟹粉って方が20元。ぼくは12元の鮮肉を注文すると、「メイヨー」と一言。お待ちいただいたのに申し訳ございません・・・的なことは当然なく、見事なまでに感じが悪い。まぁこの感じの悪さも日本人の感覚から見てそう思うだけで、現地の感覚からいったら普通なんだろうけどね。こういう自分の中の常識とのギャップに面白さを感じてしまう。

お目当の鮮肉ではなく蟹粉の方を買ったわけだけど、蟹粉っていうぐらいだから蟹が入っているんだろうなと想像出来る。早速ベンチに座って食べてみる。蟹の風味が口いっぱいに広がって・・・みたいなことは一切なく、普通な感じ。蟹の味もしなければ特別おいしくもない。蟹は関係ないのかな?でもまぁ普通においしいけどね。行列のできない簡素な店の小籠包と何が違うのかはわかりません。

自分の舌が繊細じゃなからなのか、本当にその店が大したことない店なのかはわからないけど、なんでもないような店のものでおいしいなと思える自分にとって、やっぱり行列に並ぶことはしない方がいいなということはわかった。

                             2012年 旅日記 上海より

  _K0C3729.jpg 


ホームページ 
http://www.snapla.jimdo.com/

 人気ブログランキングへ

上海のおはなし 5 こだわり - 2015.10.06 Tue

上海は当然ながら都会で、世界的に有名なブランド店が多く、各国の高級車のディーラーがあり、世界中どこでも目にするファーストフード店に、コーヒーショップもいっぱいだ。そんな中、アイアンハートやフラットヘッド、ジョーマッコイなどを取り扱う洋服屋を高級店がひしめくエリアではないところで見つけた。それがぼくには衝撃的だった。

アイアンハートやフラットヘッドは日本のバイク乗り、特にハーレー乗りには知っている人も多い日本のアパレルメーカーだ。ジョーマッコイはジーンズ好きの日本人なら知っている人も多いと思う。ぼくもハーレーに乗っていて、昔はジーンズ好きだったからそれらのメーカーを知っている。それらのメーカーは世界的に有名ではないと思うけど、一部の人たちには有名だ。値段は高いけどこだわりを持ったしっかりとした作りで人気がある。

世界的に有名なブランドショップや高級車のディーラーがあるのはわかる。お金持ちがこぞって買うだろう。世界中どこでも目にするようなファーストフード店やコーヒーショップもわかる。きっと売れに売れるだろう。わからないのはアイアンハートにフラットヘッド、ジョーマッコイだ。こういった商品は世界的に有名ではないし、身につけているだけでアピールできるわけではない。値段的にファーストフードのような手軽さもない。流行り廃りの少ない定番のジーンズやネルシャツが1万円台から3万円台ぐらいの商品だ。

こういったこだわりをもった商品を欲しがる人たちは、当然こだわりを持った人たちで、有名ブランドを買うようなお金持ちには興味のない商品になると思うし、流行に敏感なファッション好きにも目に留まらないだろう。物価の高い日本の感覚でもちょっと高めのこの商品は、物価の安い中国ではもっと割高感があるだろう。

だいたい細かいことにこだわりを持って、その結果値段が高くなるというような商品が海外ではあまり理解はされないような気がする。こだわりを持たざるを得ないような何か特殊なものならそういったことでも理解されるだろうけど、普通のジーンズやネルシャツだ。同じようなものでいくらでも安いものがある。そういった普通のものに細かなこだわりを持つというのは、日本ならではってやつだ。ましてや中国では売れる気がしない。上海に日本人は多いかもしれないけど、顧客を日本人に絞っていたら商売にならないだろう。

その店のオーナーからしてみたら「そんなの大きなお世話だよ」と言われそうなことを考えながら、あそこで商売しているということは売れる見込みがあるからやっているんだろうと思い、中国人の感覚も変わってきているのかなと思った。
そう思うとなんだか寂しかった。

作り手のこだわりを感じてその商品を買う。売った側もその思いが通じたのが嬉しくてありがとうとなり、笑顔が生まれる・・・みたいなかんじになっちゃうと、なんか違う。作り手のこだわりなんて感じてる場合じゃないよ、と思ってしまう。

あらゆるもののコピー商品がでまわっていて、何でもありのめちゃくちゃ具合がやっぱり中国って感じがするし、そこが面白い。まぁ面白いと思えない人たちもいっぱいいるだろうけどね。ぼくの見たアイアンハートにフラットヘッド、ジョーマッコイは偽物ではなさそうだ。だいたいあの辺の商品の偽物を作るメリットがないような気もする。

国民性が強く出るのはやっぱり庶民からだと思う。日本の感覚とは180度違うから中国は面白いわけで、いろいろな製品への細かなこだわりや愛想なんかとはかけ離れた日常をこれからも維持してもらいたいと、身勝手なことを日本の製品から思うのでありました。

                           2012年 旅日記 上海より



  
_K0C0499.jpg 



ホームページ 
http://www.snapla.jimdo.com/

 人気ブログランキングへ

NEW ENTRY «  | BLOG TOP |  » OLD ENTRY

プロフィール

せーじ

Author:せーじ
自分のまわりで起こったこと、
思ったことなどを書いています。


写真集
BLINK MEMORIES - La Habana

 DPP_0001.jpg

価格 ¥1,944 (税込み)
アマゾンから購入できます。
⬇⬇⬇
Amazon 


ホームページ
http://www.snapla.jimdo.com/


旅跡
2017
 プノンペン・カンボジア

2016
 メキシコシティ・メキシコ

2015
 イスタンブール・トルコ

2014
 ハノイ・ベトナム

2013
 プラハ・チェコ

2012
 上海・中国

2011
 ハバナ・キューバ

2010(年末)~11(年始)
年末年始を宗谷岬でキャンプ。
宗谷岬まで真冬の北海道を
スーパーカブで走る。
北海道

2009~10
約9ヶ月、バックパックを背負ってアジアをまわる。
中国、ネパール、インド

2003~04
ハーレーダビッドソンで南北アメリカ大陸縦断、約6万kmを走る。
カナダ、アメリカ、メキシコ、グアテマラ、ホンジュラス、 ニカラグア、コスタリカ、 パナマ、コロンビア、エクアドル、 ペルー、ボリビア、アルゼンチン、チリ

カテゴリ

上海のおはなし (7)
ハバナのおはなし (16)
デリーのおはなし (16)
カトマンズのおはなし (22)
中国のおはなし (34)
旅のおはなし (169)
この頃のおはなし (23)
未分類 (0)

FC2カウンター

ランキング

FC2Blog Ranking

人気ブログランキングへ

月別アーカイブ

最新トラックバック

リンク

このブログをリンクに追加する

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

RSSリンクの表示

QRコード

QRコード