2017-06

カトマンズのおはなし 1 響き - 2013.02.18 Mon

行き先を決める時、地名の響きで決めることがある。「カトマンズ」、いい響きだ。どことなく怪しげで、神秘的でもあるような・・・
うまく言えないけど、とにかく自分の中ではいい響きなのだ。ネパールに来てみたかった理由の1つがこれだ。理由の1つがというよりはほとんどかもしれない。なんせほとんど情報を持っていないからだ。要は響きだけ。

国をまたぐと
お金言葉が変わる。当たり前のことだがこれが面倒だ。お金は慣れ親しんだ元からルピーに変わり、円換算で頭の中に?が続く。言葉の方でも漢字で何となくでなんとかやっていたものが、ネパール語に変わり頭の中は???だ。数字すら分からない。英語表記もあるからまだいいけど。

チベットツアーでネパールに入れば先ずカトマンズに向かうのが普通。ぼくたち4人も国境で待ち構えている車と交渉しカトマンズ市内へ向かった。山道をひたすら下る。ギヤの入りが悪い車だ。怪しい。カトマンズに近ずくにつれ車の怪しさが増す。もう少しで市内に入るというところで車は止まってしまった。

もうこの車はダメらしく、ここからタクシーで行ってくれということだ。ここから市内までタクシーで400ルピーかかるらしい。国境から市内まで一人700ルピーで行くという条件だったが、車のオヤジはここまでで700ルピー払えと言ってきた。そんなのはおかしい。ここからタクシーで400ルピーかかるなら300ルピーしか払わないというのがぼくたち4人の言い分。だいぶ揉め、気づくと人だかりが出来ていた。結局オヤジが折れて一人300ルピーになった。こんな時にも団体行動のメリットがあることを知った。そしてタクシーに乗り換え市内を目指す。

ぼくたちが目指す場所はタメル地区。旅行者が集まるエリアで旅行者にとって必要な安宿、安食堂、ATM、スーパー、ネットカフェなどが揃っている地区らしい。

当然だけど今いる場所がまったく分からない。タクシーは段々と細い路地に入って行く。このままどこかに連れて行かれちゃうんじゃないかな?と不安になるような道だ。

レンガ作りのぼろい町並み。道は細く悪い。入り組んだ路地に入れば入るほど人、車、バイク、リクシャ、物売りがごちゃごちゃでクラクションが鳴り響いている。そんな
ぐちゃぐちゃ具合の街並みを眺めながら、先ほどまでの不安がどこかへ消え、わくわくしている自分がいた。


                         2009年 旅日記 カトマンズより



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カトマンズのおはなし 2 ひとり - 2013.03.01 Fri

タメル地区の安宿に、ぼくは一人でいた。

タメルに着き、宿探しの時にぼくは3人とは別の宿を取った。団体行動の方が宿代も安くつくし、いろいろメリットは多い。3人ともおもしろいし、一緒にいて居心地はいい。でも、ぼくは一人を選んだ。

旅をしている人には+αを持っている人が多い。
純粋に旅を楽しむ他に真剣に取り組んでいる何かだ。それは音楽であったり、大道芸であったり、料理であったり・・・

ぼくは、写真だ。日本を出る時、何でもかんでも撮ってやろうという気でいた。だから自分の持っている機材を全て持ってきていた。それが大荷物の要因だ。

中国の後半から自分の撮影スタイルが出来てきている感があった。街を歩き、そこでの素の表情をすくうスナップだ。自分なりのカメラの設定も決まりつつあった。ネパールではスナップに絞り、それを自分のものにしたかった。

ぼくは誰かと一緒だと甘えが出てしまう。1週間ぐらいの団体行動だったが、そう思った。今思いつく撮影スタイルを自分のものにするために、
写真に集中しよう。だから一人になろう。そう、思ったんだ・・・

                         2009年 旅日記 カトマンズより



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カトマンズのおはなし 3 一人暮らし - 2013.03.13 Wed

カトマンズは一国の首都にしてはとてもこじんまりとしたところだ。当然タメルも狭い。そこに多くの観光客がいるわけだ。街中では中国の成都で同じ宿だった人にも会うし、ナベさん、チカさん、ライくんにも会う。3人の泊まっている宿とぼくの泊まっている宿は近いし、一緒にご飯を食べに行ったりもよくしていた。

一人になり、ストイックに写真と向き合う的な似合わない考えから3人とは別の宿にした訳だけど、結局よく会っていた。それでも自分の目的は見失わず、カメラを片手に毎日街の中を彷徨っていた。夜、宿に戻れば中国の写真の整理をする。基本一日写真漬け。

自分なりのスナップの感覚をからだに覚えさせることと、中国で撮った膨大な写真の整理。何となくやるべきことがいっぱいあるようなカトマンズには長く居る感があった。

今、泊まっている宿は安宿の中では高めだ。しかもシングル。日本を出る時に何を撮るか定まっていなかった結果、全ての機材を持って来てしまっていたから無駄に荷物が多い。しかも高価。だからドミトリーは避けていた。シングルでもっと安く泊まれるところを探す必要があった。

そんな時、日本人向けのアパートの情報を得た。こんなタイミングの時は即行動に移す。「後で」とか「今度」ではダメなのだ。そんな気がする。

早速、部屋を見せてもらおうと思いアパートを訪ねた。アパートと言っても部屋数は少なく5部屋ぐらいしかない。他にも部屋はあるが、このアパートの大家さん一家が使っている。一度埋まってしまうとなかなか空きが出ないらしいが運良く1部屋空いていた。

部屋が全体的にピンク色なのが気になるが、シャワーとトイレが付いてるしなかなかいいかんじだ。これで1ヶ月の家賃が3500ルピー(当時のレートで4200円)。20リットル入りのミネラルウォーターも55
ルピー(66円)で買える。これはいい。

少し考え、部屋を借りることにした。普段は優柔不断だが、こんな時は決断も早い。ここぞという時はなるべく早く行動し、なるべく早く決断する。
それがベストだと思うからだ。

こうしてカトマンズでの一人暮らしが始まることになった。

                 
                        2009年 旅日記 カトマンズより



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カトマンズのおはなし 4 ギャップ - 2013.03.26 Tue

海外の日本食レストランというと高級料理店の部類に入り、立地や外観からしてもお高級なかんじで当然貧乏旅行者には無縁の存在だ。

ここ
カトマンズにも日本食レストランが何軒もある。でも、お高級なかんじではなく、レストランというよりは定食屋的なかんじ。地元の食堂に比べたら割高だが、海外で食べる日本食の値段としては安い。種類も豊富でおいしい。店内には日本の小説や漫画も置いてある。タメル地区にある日本食屋はどの店も海外の日本食としては味、値段などのバランスにおいてクオリティーが高いと思う。毎日は行かないが、ぼくも良く利用していた。

11月。カトマンズは観光客で賑わっていた。只今、ヒマラヤトレッキングのベストシーズンらしく、日本人の姿も良く目にする。今日の昼飯はカツ丼にしようとお気に入りの日本食屋に行くと、アウトドアメーカーの服に身を包んだヒマラヤトレッキングを目的に来ている日本人たちで賑わっていた。


日本食屋に限らずどの店も注文してから料理が来るまで結構時間がかかる。でも、日本食屋には本が置いてあるから今日は「美味しんぼ」を読みながらカツ丼を待つことにした。

みんなヒマラヤトレッキングの話題で持ち切りのようだ。ぼくは山に興味がないし、トレッキングにも行くつもりはなかったから聞き耳を立てていたわけでもないが、あるフレーズが耳に入った。


「この時期にネパールに来ている人でヒマラヤトレッキングをしない人なんていないでしょー・・・」とテンション高めのフレーズに

「あっここにいますけど・・・」と言葉にはしなかったが反射的にフラットな気持ちでそう思った。

カトマンズで「美味しんぼ」を読みながらカツ丼を待つというギャップが普通になりつつある今、目的が違うから当然と言えば当然だが、同じ旅行者でもずいぶんなギャップがあることがどこかおかしく新鮮だった。



                        2009年  旅日記  カトマンズより



  
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カトマンズのおはなし 5 火 - 2013.04.07 Sun

ナベさんたち3人はヒマラヤトレッキングに行くということで、明日カトマンズを離れる。ぼくとしては珍しく長い間を共にした仲間だ。別れの前に3人はぼくのためにポイに火を付けてくれると言った。

ニュージーランドの先住民、マオリ族の儀式に使われていたものを現代風にしたポイというものがある。ポイは陸上競技のハンマー投げに使われるハンマーのような形をしていてハンマー投げのように重いものではなく、鉄球の部分がヒラヒラした細長い布だったり、光る玉だったり、ケプラーをボール状に巻き付けたものに灯油をしみ込ませて火を付けたりして、それを左右の手に1本づつ持ち、音楽に合わせて踊るのだ。ナベさん、チカさん、ライくんの3人は火を扱うファイヤーポイをする人たち。

カトマンズの夜は暗い。暗い安宿のルーフトップには音楽と灯油の匂いが漂い、ポイには火が付けられ、演者と火の玉だけが漆黒の中に浮かび上がっている。そして、独特の雰囲気の中、ぼくだけのためのステージが始まった。

何度かポイの練習をしているところは目にしていたが、火を付けたところは見たことがない。間近で見るファイヤーポイはとても迫力があり、幻想的で素晴らしい。漆黒の中に浮かび上がる演者とグルグルまわる火を見ていると、どこか別の世界へ入ってしまいそうになるが、火が風を切る音で我に返る。

最後にライくんの演技がトレイシーチャップマンの歌と共に終わると、向かいの安宿のルーフトップからブラボーと拍手が送られた。いつの間にか観客が増えていたのだ。

一人づつ自分の演技を見せてくれ最高のステージだった。
漆黒の中に浮かび上がる演者と火。そして、火が風を切る音がいつまでもぼくの中に残り続けていた。


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せーじ

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2010(年末)~11(年始)
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2009~10
約9ヶ月、バックパックを背負ってアジアをまわる。
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ハーレーダビッドソンで南北アメリカ大陸縦断、約6万kmを走る。
カナダ、アメリカ、メキシコ、グアテマラ、ホンジュラス、 ニカラグア、コスタリカ、 パナマ、コロンビア、エクアドル、 ペルー、ボリビア、アルゼンチン、チリ

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